コラム

地域の実力=「地力」が試される!


 21世紀最初の1年での個人的な大きなニューズといえば、「会社を退めた」ということである。大学院生の生活に戻ったということになるのだが、その出来事に伴う最も大きな変化として、地域で過ごす時間がグンと増えた。会社時代は事務部門だったということもあり、1日の大半を都心にある事務所の中で過ごしていた。平日は早く帰れても9時くらい、土日出勤も当たり前だったこともあり、自分が住んでいる地域には「寝に帰るだけの生活」が5年間あまり続いていたことになる。
 日中から地域にいることで、今まで気づかなかったことを発見する。当然だが、平日地域にいるのは、老人、女性、子供、学生が中心である。そのうち老人が予想していた以上に多く、また縁遠いように思われるコンビニエンスストアを多くの老人が活用していることなどを確認した。さらに子供の数が自分の時代と比べると本当に少ない、あるいはいたとしても町中で見かけることがまれであったことから、まさに少子高齢社会を実感した。日常生活の大半を地域で過ごす生活者の視点は、地域の外で働いている男性=サラリーマンでは気づかないことも多いと思う。
 この1年あまり「地域コミュニティ」について考え、色々な地域を回り、その住民の方の声を聴く機会があった。心に残る発言も多かったのだが、ある地方自治体の職員がこのようなことを言っていた。「地域の施設はそこに住む人が運営に当たるのが一番良い」。つまり、24時間生活している地域住民がその地域の実状については知悉しており、行政がサービスを提供する場合も、このような事情を踏まえるべきというものである。実際にこの自治体では行政による自前主義にこだわることをやめ、自然公園(ネーチャーセンター)の運営を地域の団体(NPO)に全面的に委託するという画期的なことを実現させた。
 地域で問題が起こったときにすぐに行政のせいにするのではなく、まずは地域住民自らで解決法を探ってみる、これを専門用語では「コミュニティソリューション(地域による問題解決)」という。地域固有の問題は地域住民が一番知っている。行政よりも。そこで実力を付けてきた地域住民による活動団体が、行政では至らない点をカバーする、行政もそれを信頼して任せる、という図式が実現することになる。このような事例は全国的にはまだ希かもしれないが、着実に広がっていくことになると思われる。
 住民自らの考える力=知力、そして実行力が問われているのである。スローガン的に言えば、小さな変革は地域から始まる。

立教大学大学院 浅岡隆裕 2002年1月